twin 3



ところ変わって、ツナの自室。
広間ではいつ誰が入ってくるかもわからず、面倒なパニックを避けたいツナが移動を言いだしたのだ。
はじめは尊敬やら親愛のつまった、途中から完全な敵意・殺気全開の、そして今はいぶかしむような視線で、皆ツナを見ている。
出張中の霧をのぞいたボンゴレの守護者たちと、ツナの家庭教師兼マフィア界No.1の殺し屋(順序が逆な気がする)のリボーン。6人の瞳がツナにのみ集まる。
姿形、声色ともにツナな、だけれど中身はツナじゃない自称ツナの言った、゛一般的に言う・・・と二重人格みたいな?゛が今の状況を産みだしたのだが、当の本人はそ知らぬ顔だ。
服装も、スーツなんて着たくないと、Tシャツに短パン・・・はリボーンに止められ、適当な長ズボンだ。
髪もほどいていた。

「さっさと事情とやらを詳しく話しやがれ」
「まったく、短気だなリボーン。そんなんじゃ愛人にも愛想つかされるよ」
「勝手につかせとけ」
「あ、そっか。あいつが好きなんだっけ、ダメツナが。大変だなー」
「そんなのどうでもいいから、早く。二重人格ってなんなの」

ヒバリが苛々したふうに腕を組んで、急かした。

「言ったまんまなんだけどな。オレとあいつ・・・ダメツナは二重人格なわけで、ずっと俺は眠ったままだったんだけど。
 起きちゃったわけ、こんなふうに」
「眠ってたって・・・」
「ん。リボーンが来たころからずっとね、体動かせるのも久しぶりだ」

ツナはうーんと、背伸びをした。

「信じがてぇ。しっかりとした証拠が欲しいな、・・・いますぐダメツナに変わるとか」
「あぁ? しばらく無理だよ、あいつ休憩してるから。一週間くらい駄目そうだ」
「そんなに・・・!」
「証拠ねぇ・・・そだ、超直感を示すってーのはど? 今や沢田綱吉以外じゃ、ザンザスくらいしかいないっしょ」
「だが精神のみ10代目がのっとれていると考えれば、精神はボンゴレ直系じゃなくとも使え・・・」
「馬鹿いうな」

獄寺の言葉をリボーンが遮る。

「肉体だけであの力は使えない。ボンゴレの血と身体に容れられて育った精神と、血肉が合わさって初めて発揮される力だ」
「・・・ってことは、超直感使えたら一週間ぐらい信じれるね。なにがいい? そっちで指定させてやる」
「・・・骸の戻る時間」

六道骸、霧の守護者。
冒頭でも少し触れたように、彼は仕事に国外へと出ている。
手間と時間が無駄にかかる物件のため、ツナは骸と50人の人員をさいて向かわせていたのだ。
それは一昨日のことだった。

「なんだ、そんなんでいいの。んー、2日後の13時ジャストだな。人員減少数6名、負傷者13名、なかなか優秀だね」
「なんでそんなに細かくわかる?」
「能力に関していうなら、あいつよりオレのほうがかなり上だから。この能力のもとはオレなんだ。
 あいつはダメツナで、なのにおまえが無理に鍛えて、奥底に眠っていたオレの直系の力を無理やり引き出した。だからあいつはこの力を使えてる」

沈黙が続く。
誰も次につなぐ言葉を言おうとしない。
当然だ。その直感がたとえ当たったとしても、それがわかるのは2日後のことで。
それまでどうやってこのツナらしき人物を信じればいいのか計りあぐねているのだ。

「まったく、みんな疑り深いね。こんな愛らしい容姿と性格を沢田綱吉さま以外の誰が持ってるっていうんだ」
「性格は違う」

6人の声が重なる。
ツナのことになると、このバラバラな性格が一つにまとまるようだった。
やれやれと、ツナはため息を吐いた。

「じゃ、秘密暴露ってことで。
 リボーンは最近じゃやってないけど、完璧に寝ぼけていたあいつを起こす前に何度かキスしてた。小鳥ちゃんキッス」
「リボーンさん!?」「赤ん坊・・・!」
「ちっ・・」

「獄寺はあいつに正面きって告白してきたことがある。”オレも好きだよ?”という友達的なことに受け取られながらも鼻血出して喜んでた」
「獄寺・・・」「・・・哀れだ・・・」
「なっ、なんで知って・・・!」

「ランボは、3割くらいは演技でこけて、泣いている。あいつに抱きしめてもらえるからな」
「アホ牛!!」「・・・クズが」
「・・・・ひっ・・・・。が・ま・ん・・・!」

「了平はそんなにないな・・・。好きっていう種類自体が少し違うのかもしれない」
「うむ!オレは沢田が好きだ!」
「ありがと、オレも好き」
「これはリョウオモイというやつだな!」
「そーだねー。相思相愛みたいな」
「・・・・・」

「山本は・・・もご」

ツナがよどみなく暴露を続けようとするも、山本の名を言った直後に口をふさがれた。
山本だ。

「言わねーでくれっかなー。ツナの記憶を持ってるってことはわかったから」
「ふ・・・・もえよひははもほ(それより山本)、てははひて(手はなして)」
「僕のも言わないでね。明後日までは信じててあげるから」
「なっ、山本!ヒバリ!それじゃーオレらが損じゃねーか!」
「うるさいよ、哀れ」
「てぇ、ははへっつっへんはろ!!(手ぇ、はなせっつってんだろ!!)」

ガンッ

コントのごとく喋る山本たちだったが、あきらかにツナの存在は忘れている感じだった。
山本の手にはばまれて呼吸がしづらかったツナは、山本の足の甲を踏みつける。
ようやくツナの口が手から開放された。

「いっっ!」
「勝手にさわんな」

ツナが山本をギロ、と睨む。
冷たさと冷徹さが入り混じった、光をともなわない視線だった。
それは、一流のマフィアが見ても、身震いするようなそんな鋭さがあった。
そんな空気の中でも、少し冷や汗をついたくらいでまた好青年の笑顔を浮かべた山本を正直すごいと思う。
(ああはなりたくないが)

「わるかったって、怒るなよツナ」
「うるさいエセ好青年。オレはおまえの偽笑顔が大嫌いだ」
「ははは、手厳しいのな」

ツナはむすっとしていた顔を元に戻した。
に、と口の端を上げて、何かを企んだような顔だ。

「ところでさー。誰かオレのセフレになんない?」
「はぁ?!」

ツナの口からつむがれた予想外の言葉に、ツナ以外の目が限界まで見開かれた。
獄寺とランボにいたっては、頬を真っ赤に染めている。

「性欲処理。いい具合におまえらの好きなあいつと性格以外は同じなんだしさ?
 代わりとでも思って抱けばいいよ。正直この体、ずーっとヤってないから辛いんだ。
 あいつ性欲無いから良かっただろうけど、オレは平均よりあるし。つーわけで、誰かー。いないー?」

ツナはケラケラと笑いながら、でも誘うように甘い視線で男たちを順番に見ていく。

「んー・・・獄寺は? じゃあリボーン・・、むぅ。ランボは下手そうだから却下。ヒバリは初めからSMはきついしな。あ、了平ヤんない?」
「む? いいぞ! 何をやるんだ?」
「汗かいてー、楽しくてー、気持ち良いこと。オレかなりうまいよ」
「なにやら面白そうだな。やろう! 負けんぞ!」

ツナと了平の、どうみてもかみ合っていない会話が成立されてゆく。
了平は天然だが、ツナは確信犯だ。
単純かつ純粋な了平を、巧妙な(気はしないが)話術でかるく操っていく。

「おーけーおーけー。今ヒマ? ヒマだよな、よし、寝室いこうか」
「おお、戦場はそこだな!むろん行くとも!」
「朝からヤりたくてたまんなかったんだー。解消できるっていいねー」

あっけらかんと下なことを連想させる言葉を連発していくツナだったが、了平はわかってないらしく、時々頭に?を浮かべるだけだった。
ランボ・獄寺は赤面。ヒバリは頭を抱え、山本は笑顔を崩さないままだ。
リボーンは二人のそばに行って、ツナに拳骨をふりあげた。
が、そのこぶしはツナにあたることなく空を切った。当然なんの音もしない。
ツナは軽く眉をよがませる。

「あぶねーじゃん、何?」
「・・・ツナの姿でエロいこと言うんじゃねー。あとセフレは却下だ」
「愛が必要ってなら問題ないよ、了平とは両思いだし。なー?」
「うむ!」
「そーいう問題じゃねぇ。却下だ」
「なんでおまえに命令されなきゃいけないわけ?」

再びツナを取り巻く雰囲気が、冷たいものになる。
普段はぱっちりとした愛らしい目を細めて、リボーンを睨んでいた。
リボーンはツナに気圧されたが、ここで引くわけにもいかなかった。

「・・・了平の好きは俺たちの好きと違うんだろう?」

痛い。この言い訳は痛い。でもほかに言いようがない。
だけれどツナは、しばらくリボーンを凝視したあと、了平の顔をのぞくように見た。
状況がまるでわかっていない了平は、「どうした?」と首をかしげる。

「・・・・・そだね、しょうがない諦めるか。他のも”オレ”に向けてるんじゃないみたいだし」
「なんだ、バトルは取り止めか沢田」
「うん。また機会があったらヤろーv」

リボーンが再び拳をふるったのは言うまでもない。
それが当たらなかったのも、言うまでもないだろう。






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すみませ・・っ! だってエロだいすきなのに、望みはエロっけ出ないから・・・!
ていうかこれ、エロっていうか下ネタですけどね。
だいじょうぶです。本番まではいきません。本番までは・・・多分。キッスはOKの範疇ですか?
07.08.11