* 風のよりどころ *  -15-



男の顔にスパァーン!!と豪快な音をたてて何かが飛んで、刺さった。

男の顔面に、たくさんの針のようなものが突き刺さっていた。

当然ながら男は倒れてしまった。

ちょうど向かい側の森から、前にと居た、カタカタ言う奴が出てきた。 数本の針を手に。


「ゴメンゴメン 油断してて逃がしちゃったよ」

「ウソばっかり◆ どうでもいい敵に情けかけるのやめなよ♪」


どうやらあの男が針を刺したみたいだ。


「だってさーかわいそうだったから。 それはどうでもいいけど、なんでヒソカと居るのさ、一人でって契約だったのに」


それまで引っ込んでいたが近づいて、二人に話しかけた。


「偶然会っただけだよ。 でも……ヒソカだってたまにやってない?」

「今 殺すにはもったいない人だけ 生かしてるんだよ★」

「ゴンとか……? まあ、わかんないでもないけどね」




オレの名前が出て、ちょっと驚いたけど別にこっちに気づいてるわけじゃないみたいだ。

誰一人こっちは全然見ない。




「あ でプレートは?」

「あるよ。 でもオレ6点になったからこっちはいらないや。 あげるよ オレを銃で狙ってた奴のプレート」




そういってカタカタの男(だって名前わかんないんだもん)は80と書かれたプレートをヒソカに差し出した。

それから自分の顔中に刺さっている針に手を伸ばし、一本一本抜いていく。




「「うーん 何度見ても気持ち悪い(面白い♥)」」

「二人でしてハモらないでよ。 やってるほうは結構ツラいんだけどね。」


顔が変形して、髪が伸びて黒になって、全然同一人物とは思えない感じの猫目の男がそこに居た。




「ヒソカー、そのプレートって何番?」

「ん? 80番だけど◆」

「うそっ それ頂戴!!」

「んー これ、キミのターゲットかい? タダではあげられないねぇ?」




ヒソカはクックックと笑い、手の先でプレートをくるくる回す。

全部に従ってるのかと思ってたけど……違うのかな?


は自分のスカートのポケットを探ってプレートを一枚出した。


「じゃ、じゃあさ、ここに197番のプレートあるから。 それと交換は?」

「それでもにとっては3点と1点との交換だろ? それじゃあ公平じゃないなぁ★」


ヒソカは意地の悪い笑みを浮かべた。




「なにをすればいいの?」







「そうだな◆ キス、とかでどうだい?」


そう言うとヒソカは人差し指をの唇にそっと当てた。

そして当てたまま唇をなぞられる。

実を言えば私はキスは慣れてる。

まぁ、パワーアップだのなんだのの私の念と関係があって、キスすれば一瞬で濃いエアブレスが全身に流れ込むらしい。

だから……主にクロロに何度かはやられてはいるが。

だけどヒソカだとなんか……必ず深くされそうでいやだ。 でもまぁ仕方ないかぁ……。




「もちろん キミから◆」




もっと嫌だ。

うーどうしよう、別の方法探そうかな…幸いにも他の受験者達ほとんど念使えないから勝てると思うし。

あ、いい方法発見。

思い立ったので行動すべくヒソカに口を寄せた。




……そんなことしなくても元はオレのだから渡させたのに」


黙ってみていたイルミがそう言った。 は脱力感を覚える。


「えー それもう少し早く言ってよ」

「ちぇ◆ 口にしてくれないんだ、酷いね、♣」


そう、がキスしたのはヒソカの頬である。

からするというヒソカの提案はこちらに神を呼び寄せたようだった。

ほっぺチューのみで三点のプレートを得て、今日はすごく幸運な気がする。




その後イルミはヒソカの傍に居たら危ないから駄目だよ。という言葉を残して地面に埋もれた。 試験終了まで眠るらしい。

暗殺者が穴を掘っている姿は他から見ると結構滑稽だったかもしれない。




そのまましばらく無言でヒソカと過ごし、ちょうどあたりが暗くなってきたとき、ヒソカが立ち上がった。


「さーて、あと2点◆ そろそろ狩ろうかな★ キミも来るかい?」


暇であったから、逆らいもせずヒソカの狩りでも見物することにした。

何か獲物を見つけたようで見つけたと呟いてから人の気配のするほうに向かっていった。




因みに私にはヒソカのような超眼力はないので見えもしなかった。

ヒソカは興奮したりすると身体能力値が0.3倍くらい上がるみたいである。

あれ? ……1・3倍だったっけ。 0.3倍じゃあ減っちゃうか。

算数キルアに教えることだって出来たのになんで間違えてるんだ私……。




ヒソカの見つけた獲物はクラピカとレオリオだった。


「「ヒソカ!? !?」」

「やぁ★ 実は二枚プレートが必要なんだ♪ くれないかい?」

「あ。 私のはもう集まってるよ? ヒソカのだけなの」


クラピカがとヒソカのかって感じの顔で私たちの顔を見比べたので、なんとなく急いでそういった。

余計な誤解は面倒を引き起こすので避けておくべき。




「一枚は渡せる。 それでも駄目なら 戦おう」


ザッとクラピカとレオリオは構えを取った。 クラピカは二つの短い刀に鎖がついたもの、レオリオはナイフだ。


「どうするの? ヒソカ。 戦うなら私は引っ込んでおくけど」

「なんだ、一緒には戦ってくれないのかい?」


私が参戦しなくとも勝てるだろうに。

それを百も承知で聞いているのだろう、わかってはいるけどヒソカは相変わらず意地が悪い。


「残念だけど、ね。 この二人お気に入りだから。 終わったら声かけてねっ」


それだけ言うとは茂みに向かって、そのままこの場から去った。

二人が殺されるのは見たくないし。





しばらく経ってもヒソカからの合図や連絡は皆無。

暇で暇で仕方が無く、いくらなんでももう終わっているだろうという判断からは円で近くにいたヒソカをたどる。

えっと、何で?

ヒソカの傍らには生首があった。 一応クラピカやレオリオのじゃないし、面識の無い男のものだったことに軽く安堵する。

そしてヒソカの顔には嬉しそうな笑みが浮かんでいた。




「どうしたの?」

「いやァ、どうしてこう青い果実は美味しそうなのかって思ってね◆」

「クラピカ達のこと? それともゴン?」

「どっちも♥ と言いたいところだけど、ゴンだよ★ プレートを僕から取ったんだ◆」




いちいちヒソカを狙って取るわけはないだろう、ってことはヒソカがターゲットだったんだね。

凄いな。 ありえないような事にその思いしかの胸には湧き上がってこない。

いや、あえりえなくないのかもしれない。 ゴンなら何でもやりそうな気がする。




「ゴンのとこ行ってもいいかなぁ?」


許しを得るためではなく、いっても大丈夫かどうかを聞くために質問を投げかけた。


「ん〜、でも僕が一発殴っちゃったからなァ♥ 少し落ち込んでるころじゃない?」

「じゃ、少し戻ってきたら顔を出してみる」


ずっとずっと落ち込んでる、なんてゴンには似合わないからすぐ立ち直ることだろう。

たとえずっと落ち込んでたら突き飛ばして渇いれてやろうっと。




見つからない。

何でだー そんなに遠くに行けないはずなのに。 うん、正直ヒソカの一撃は痛いからな。

そして三日たち、当ても無かったのでゴール地点に足を運んでみた。

木の上から見たら見える・・・かもしれない。




あ、いた! 早い、こんなに早く見つかっていいのだろうか。 あの三日間の苦労はなんなのだろうか。

見えづらく、正しくないかもだけれどクラピカとレオリオらしき人もいる。 無事だったんだぁ・・・。

会話の聞こえる近くまで行ってみた。




「ゴンなら臭いを追跡できるかもしれない! 薬品の臭いを」

「うん! やってみる」


それだけ聞こえた瞬間、足が滑った。 足元には緑のコケが生えていた。




「う、ひゃっ!」


ずるっ どすんっ


一応出る気ではあったが、三人の目の前にうつ伏せに滑りでてしまった。

は、恥ずかしすぎる。


「・・・?」

「おい? 大丈夫か?」




顔を上げるとレオリオが手を差し伸べてくれたから、手にとって立ち上がる。

スカートやひじやらに泥や草がついてしまったからそれを払いながら話しかけた。




「ありがと。 ねぇそれ私も参加させてもらってもいい?」

にメリットはねぇじゃんか。 なんでやりてぇんだ?」

「なんででも!」

「ま、まぁいいけどよ」


レオリオはの気迫に押されたのか、少しどもりながらも了承してくれた。















NEXT→

目次へ




なんでゴン君視点こんなに長いんだろう(汗

なんでこんなに第三次試験長引いてるんだろう、自分。

きっとレオリオの印象にはすっげードジな子と映っているでしょう。 ヒロインちゃんドンマイ★



BACK