* 風のよりどころ * -14-
私、時間内にタワーをゴールすることができた。 もちろん無事に、7人一緒に。
7:0
「『長く困難な道』のほうに入り、20分以内に壁をこわし、『短く簡単な道』のほうへ出る。確かにこれなら7人全員で時間内に出ることが出来る」
「対戦した試験官の人が 素手で床や壁を壊してたりしてたからさ、道具さえあれば穴開けられるかもって思っただけなんだけどね」
なんでもないことのように、ゴンは言った。 確かに簡単。 でも誰も思いつかなかったこと。
「それが凄いんだよ」
「でも、皆を○を押すようにしてくれたのはでしょ? こそすごいよ!」
ギタさん……と、もうイルミでいいか。 には私に逆らえない理由があるし……エアブレスの恩赦には逆らえなかっただけだと思う。
麻薬みたいで気持ちいいらしいけど、自分にはなかなかできないからわからない。
『第3次試験 通過人数26名!! (内一名死亡)』
いいものをヒソカと共にってのが気に入らないけど契約して、ハンター試験中手に入れた。
ヒソカと一緒にやったのは奴が蜘蛛だから、蜘蛛のモノとの契約がスムーズに行くため。 あ、いいものって蜘蛛のモノらしいからさ。
前から知り合ってはいたけれど実際はクロロとかが邪魔してきてたから……今度のはいいチャンスだ。
いきなり抱きついてきたから何だと思ったけど、離れてるよりくっついていたほうが何倍もいい。 どうりでクモ達がべたべたとこの子にくっついているわけか。
蜘蛛にいる理由が今一よくわからなかったけれど、これだけの物ならわかる気がする。
ハンター試験はオレら三人以外に念を使える奴は居なくて、まだ弱いキルより強いのもほぼいなくて、気抜けした。
こんなに弱い奴らが仮にもハンターになっていいんだろうか、なんて。 まぁ資格が簡単に取れるからいいんだけど。
第一第二と、オレとヒソカと交代でいいもの…を運んだ。 まぁ、変なこともあったけど滞りなくすんだ。
問題ってのは次、三次試験だ。
よりによって7人制の多数決で進む道。 脅してこっちの意思に従わせても良かった(というかそっちの方が良かった)んだけど、キルもいたからまだ怪しまれるわけにはいかない。
そして戦闘の多数決。 4勝すれば良い……オレととキルと、もう一人くらいは勝てるだろうと思ってたら、は負けるし時間は縮まるしで少し忙しかった。
負けたのもまぁ、ドジだからね、。
一応弱いって訳じゃないよ、念も使えるし。
が負けたショックで泣きついてきたのは美味しかったけど。
ん? ヒソカみたいって?
あんな奴と一緒にしないでよ。
全員で長く困難な道か、4人で短く簡単な道か。 短い道じゃなきゃ到底出れないはずのところ。
ゴンってキルの傍に居る奴が、困難な道を押せ、と言ってくる。 結局オレは困難な道を選んだ。
別にあの、ゴンて子を信じたわけじゃない。
が信じたものを信じる。
そんな変な感情が混ざっただけのことだ。
「諸君タワー脱出おめでとう。 残る試験は四次試験と最終試験のみ」
パイナップルに似た髪形の試験官が言う。 風が強く、言葉が聞き取りづらい。
背後に海、遠くには島が見えた。 その島を試験官は指差す。
「四次試験はゼビル島にて行われる。
さて、これからクジを引いてもらう。 決定するのは狩るものと狩られるもの」
タワーを脱出した順番にクジを引いた。 ヒソカって一位だったんだ、速いなー。
もちろん私達は最後のほう、因みに言えば私が一番最後だった。
「全員引き終わったね。
引いたカードがターゲット。 奪うはターゲットのナンバープレート。
ターゲットのものは3点。 自分のものも3点。 その他は一点。 最終試験に進むためには最低6点が必要な点数だ」
船でゼビル島へ向かった。 今度はパイナップル試験官のかわりにハンター協会の服をきた、お姉さんが試験の説明する。
「ここに残った方は来年の試験会場無料招待券がご用意されます。
たとえ今年受からなくても気を落とさずに来年また受験してくださいねっ。 それでは皆さん、二時間船のたびをお楽しみください」
しーんとした空気に耐えられなかったのか、最低限のことだけを言うとお姉さんはそそくさと立ち去った。
一般人が逃げ去るのも仕方がないこと。
一瞬にして受験生達が狩人と獲物に変わったのだから、一瞬でも気を抜けば狩られる――そんな雰囲気。
またタワーを脱出した順番に出て行く。無論私は一番最後。
とりあえず個人で行動するハメになってしまった。
だって、三日はヒソカと、もう三日はイルミと。 そうすると一日余ることになるから。
もう面倒ーと言ったらじゃあ一人で一週間行動してくれ♥ なんていわれてしまった。 泣きたい。
いいもん、途中からイルミに引っ付いてやる。
おお、キルア発見。
しばらく歩いていると見知っている人物にあった。受験生三人に囲まれている、まあ……凄く弱そうな奴らだけど。
ほとんど戦わずしてプレート三枚ゲットしてしまった。 うわーいいな。
とりあえず姿を現してみる。
「? 居たんだ、わかんなかった」
「うん。 ところでなんでプレート投げてるの?」
「コイツがオレのターゲットだったから、他はもう要らないかなーって」
「うそっ。 じゃあ頂戴!」
キルアが投げるフォームを取ったので大急ぎで言ったが遅かったらしく……一つしかもらえなかった。 もう一個は空のかなただ。
一点にしかならないけど197番ゲット。
その頃ハンゾーは目当ての197番ではなくて198番を拾って取ってしまい、落ち込み中。
一つ投げたときにそれを追ったため197をが持ってるなんて知るわけないのです。
キルアと別れてうろうろとしていると、ヒソカの気配を発見。 30M先だ。
やった、余ったプレートかなにか分けてもらおうかな。
行くとヒソカの回りは蝶がたくさん飛んでいた。
「ん? 、どうしたの?」
「暇だなぁって。 ねぇその蝶ってなぁに?」
私は蝶たちを指差して言った。
「好血蝶だよ★ 血に寄ってくる習性があるんだ♣」
「怪我してるの? 」
ヒソカの横にすとんと座る。 蝶の紅は血の色のように深く、綺麗で引きこまれるぐらい。
特別話すことも無く二人黙っていると、草むらから人の気配がした。
「ヒソカ」
「ああ♠ 出ておいでよ♥ いるんだろ?」
明らかにその草むらにいる人物に話しかけたヒソカだったが、動く気配は無い。
「こないならこっちから 行こうかな♣」
ヒソカが立ち上がり、気配がするほうへ歩いた。
だめか……!!
ターゲットはヒソカで。
無謀かなとは思ったけどバトルじゃなくてプレートを取ることが目的ならオレにも勝機があるかもしれない。
竿で奪おうと思いついてから、ヒソカを探してやっと見つけて。
隙の無いヒソカからプレートを奪うにはヒソカが攻撃する瞬間を見極めて、その時に取らなきゃならない。
隠れて待つしかないと思って、隠れているとがやってきた。
は第三次試験のとき、多数決の道で一緒になったオレより少し上くらいの女の子。
ヒソカとあの釘がいっぱい顔に刺さってる人……はギタさんって言ってたかな。と仲が良かった。
だから離れてるほうが変って言う感じだったから、やってきたのは予想のうち。
二人は少し話して黙り込んだ。
しばらくするとがヒソカの名前を呼び、ヒソカはこっちのほうに向かってきた。
見つかった!
でも、細かい場所まではわかってないかもしれない、と希望を持ってじっと耐えてみるが明らかにオレが居るほうへ向かって来ている。
だめか……!!
イチかバチか、このまま行ってみようか……
そんなことを思っていると後ろでガサッと葉が揺れる音がした。
そこには屈強そうな男が長い槍を持って立っていた。
いつのまに、と思っているとヒソカは完璧にそっちのほうを向いていた。
男は手合わせ願おう、と言い放つと槍を横に振り回した。 ちょっぴりオレの髪が切れた気がして焦る。
「死ぬよ◆」
ヒソカの言葉を聞くと男は戦闘体制にはいった。
早くもチャンスが来た。 これでヒソカが攻撃するときを狙えば取れる!!
男が仕掛けて、男が連続して槍を振り回す。 ヒソカはやすやすとそれをかわした。
絶対チャンスは来る!! ヒソカが獲物をしとめようとする瞬間、それを狙えばいい。
しばらく男の攻撃が続く。 でもヒソカはそれに攻撃どころかカウンターもしないで、ただ避けていた。
なんでだ? なんでヒソカは反撃しないんだ??
自分の出した攻撃に疲れたのか、男は息を乱しながらそれでもまだ構えている。
なんか……呼吸が変だ。
「ヒソカ なぜ攻撃してこない!!」
「このままよけてれば キミは勝手に死ぬから◆
おびただしい好血蝶の数が キミの傷の深さを物語っている♠
ボクさぁ…死人に興味がないんだよね♣ キミ もう死んでるよ★ 目が♥
ヒソカはそう言うと切り株に座った。
男はヒソカに槍を刺そうとふりかぶった。
今度こそ、ヒソカは攻撃する……!!
オレは竿をぐっと握り締めた。
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鼠「戦わずして苦労せずにプレートゲットなヒロインちゃん!」
ゴン「いいなぁ・・・。 オレとか結構苦労してるのに」
鼠「ヒロインちゃんの特権ですよ〜。 それに言うならキルアも苦労してないじゃん?」
ゴン「そっか、キルアもも強いもんね!」
鼠「そうそう。 やっぱり白い原作ゴンちゃんは癒されるなぁ・・・。 ォラとしてはキルア相手に少々黒くてもイけるけど」
ゴン「そうなの? じゃあ出番多くしてくれると嬉しいな。 キルアより」
鼠「微黒っ」
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