* 風のよりどころ * ー9ー
「ん………」
目が覚めた。
窓から朝の光が差している。 いつもより、結構遅く起きてしまったようだ。
昨日は、ネテロさんとボール取りごっこしたんだっけ…アレ、ここどこだろう?
頭がすこしはっきりしてくると、周りの環境がわかった。 見たことが無い、狭めの部屋。
オレ、個室なんて取ったっけ……。
にしても昨日受けた傷…痛くない。変なの。
ふかふかするベッドの上に座って、黙々と考えてみる。 じっとしてても始まらない、そう思ってベッドを降りた。
「うきゃっ!」
何か踏んだ。
すやすやと寝ていたら……踏まれた。
「うきゃっ!」
「あっ え? ごっ ごめん! 大丈夫?」
なんか冷たい。そうか、またベッドから落ちたのか、私は。 相変わらず寝相の悪さは変わらないらしい。
そっかゴンって子が居たっけ、と思いながら私を起こすために伸ばされた幼い手をとる。
立ち上がると、ゴンが慌てて聞いてきた。
「え、えっと。 ? オレどうしてここにいるの?」
「昨日会長さんとボール取りごっこしてたでしょ?」
「うん、ソコまでは覚えてる」
「途中から私も見てたんだけど、終わったらゴン倒れちゃったから。 風邪引いたらいけないかなー……って連れてきちゃった」
「あ、そうなんだ。ありがと!」
とりあえず身支度を整えた。 後どれくらいで第三次試験会場につくんだろう。
会長さんがゆっくり飛べって行ってたけど、予想到着時刻とか言ってなかったっけ。うー
それにしても何か忘れてるような気が………
「あっ!!」
「どうしたの?」
「忘れてたっ 行かなきゃ!」
ヒソカのとこ行かなきゃだったー! 私仕事人として失格だよ!
「ゴン! 私ヒソカのとこ行くから、準備できたら出てっていいよ」
「う、うん。 ってヒソカ? 大丈夫なの?」
「何が?」
「怖かったりしない?」
「全然。 それじゃっ」
絶対怒ってそうなんですけどっ。 そういう意味ではめちゃくちゃ怖いかも。
部屋から出て、廊下の角を曲がるとヒソカが居た。
気づいてて、待ってた……とか?
「ヒソカ…えと、今からでもいいかなぁ………なんて」
「うん◆ まさか、ゴンにあげてたんじゃないだろうね?」
「あげてないし(あげそうにはなったけど)」
ひょい、とわきの下に手を入れられてヒソカはエアーを抱き上げた。
すりすりとヒソカの頬に頬を擦り付けられる。
「ん〜。 昨日ぶりだ♥」
目立つからと場所を移動してもらってずーっとくっついてこられた。 どうでもいいしたまにだけど急に笑い出すのはやめてほしい。
多少は慣れたけど、耳元で言われるとさすがに鳥肌が出るよ。
トリックタワー
強い風が吹いている。 高い高い塔の上。
その平らな一面の床には扉や階段らしきものは何も見当たらない。
「生きて 下まで降りてくること。 制限時間は72時間」
それが三次試験の試験内容!
NEXT→
目次へ
み、短いので長くなるように一層の精進を期待してみてください。
BACK