* 風のよりどころ * ー7ー
というわけでグレイトスタンプという豚の丸焼き、合格。
お寿司は駄目だったけれど、クモワシの卵取りで合格。
よって第三次試験合格!!
もちろん、ヒソカとイルミによる、合格である。
ついでに言うと、現在飛行船の内部である。
「ねぇ、イルミ……」
「なに?」
イルミは軽く首をかしげてこちらを向いた
駄目だ…、ゾル家の黒目は私大好きだぁー……。
あの、釘だらけの顔と、カタカタは今やめている。
そしてイルミは私を後ろから抱っこし、ソファにて座っている。
抱っこされたまま、無理やり頭を後ろに向けてなんとかイルミの顔が見えている。
なんかここでも視線を集めているような……
ああイルミがギタさん…もといギタラクルだったから元のイルミの顔知らないんだっけ、皆は。
なるほど、こんな奴いたっけか?って感じね。
「えっと、ギタラクルにならなくていいの? キルアにばれちゃわない?」
「は、この顔イヤ?」
「好きだけど……。じゃなくて、心配をね」
してるわけでして。
貴方の黒く大きい猫目でじーっと見つめられると照れちゃうのですが。
しかもこう、体に手をまわされてるだけじゃなくて背中もイルミとぴったんこ。 イルミのあごもわたしの首あたりにぴったんこ。
多少は慣れてるけど、ゾル家猫黒目のイルミにやられるとどぎまぎしてしまう。
お、いいところにヒソカが!
とりあえずこの状況から逃げ出したい。
「やぁ♥ こんなところにいたんだ、にイルミ♠」
「ヒソカ」
「ずるいよイルミ♥ を独り占めなんて★」
まさか………………
「ボクも混ぜてよ◆」
まさかのまさか。 エアーの予感は的中した。 ますます想像しきれないのですけど。
イルミが後ろから、ヒソカが、前から抱っこされてじっとしている私。
イルミがヒソカにどう返答するかは想像つかないけど、とりあえず返事を返す前にこの場から逃げよう、うん。
「イルミ、ヒソカ。 私ちょっと飛行船の散歩してくるね。
イルミのほうが少し長かったから目的地につく前にヒソカのとこいくから」
それでいいよね。
そう言うと反論を許さないかのごとく(大急ぎで)私は二人のところから去った。
「ちぇっ♣ つれないなあ★」
「……ヒソカのせい」
私はヒソカとイルミからハンター試験中、そばに居て念をかける仕事を請けている。
でも、仕事でずーっとされるのは嫌なの。
………………あの人とプライベートでだったらいいけど。
何しようかな、と飛行船内をただ当ても無くぶらつく。
すると前方から血の香りが漂ってきた。
多分誰かが殺されたのだろう、慣れ親しんだその香りはいつものごとく濃かった。
誰かな? あのゴンって子じゃなきゃいいな、面白そうだったから。
「……?」
「キルア? これやったのキルアかあ。 二人もやったの?」
「ああ。 ってなんで二人ってわかるんだよ」
「わ、本当に二人だったんだ。 んーと…………………におい?」
(こいつもゴン並みかよ……犬みてぇ)
「ちょっと今犬かよって思ったでしょ!?」
「思ってねーよ!」
まったく、ゾル家はいくらなんでも殺しすぎだよ。
そして放置しすぎ! 後片付けしなきゃ他の人に迷惑だろうに。
シズクを見習えー 血の一滴も残さないんだよ。
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