* 風のよりどころ *  -3-





「蜘蛛に入れるのさ」


「団長!?」


まわりがさらにざわつく。 あまつさえフェイタンやフィンクスにいたっては殺気までかもしだす始末だ。

こんな強そうな人達に入るなんて結構な修行を要しそうだ……。




「いくらあの時の念の量がすごかったからって……」


「団長、この子まだ発も覚えていない段階でしょ。 そこから始める気?」


「いや……「発なら……できるよ」 何? そうか。 やって見せてくれないか」



父様は人に迂闊に見せるなって言ってたけれど、見せないと殺られそうだし……仕方が無いか。




まだ弱いんだけどな……




「皆さん、ちょっとだけそばに来て。 離れてるとまだできないから。 危害は無いよ」



フェイタンは頑として動こうとしなかったが、クロロが一言言えば渋々近づいてくれた。




エアブレス!




の念があたりにたちこめる。




他人の補助をする念。 何故か父様はそれにしろといった。 あの人の意図は今考えてもよくわからない。


一応、他人の能力を一時的に増加させるのと人をリラックスさせることができるらしい。



は念をといた。 また少しざわつくが、今度のざわつきは好奇なものだ。





はこの年で念……さらには弱いが発まで使えるが。 意義のある者は?」


「……でも」


「別に今から入れるわけじゃない、ある程度強くなったらの話しだ」




男のメンバーはほとんど部屋に入ってしまった。 残っているのはウヴォーにクロロ、シャルだけだ。




「ねぇ さっきのって何? なんか、言い方変だけどふわーって感じになったやつ」


シャルが無邪気な感じで聞いてきたり、




「おう、。 飯食わねーと体もたねーぞ」


とウヴォーにばしばしと背中を叩かれたり(痛かった)、




パクノダに能力について語りあったりした。


盗賊ってくらいだからとっつき難くて暗いのかなぁと思っていたら人懐っこい人もいるみたい。





  -4-




あれから三年。私は11となる。 初めて全旅団がそろった。

さすがに名前は覚えられなかった……でも、その時全旅団員に認めてもらった。

皆のようにナンバーに入るのか、それならば誰かを殺さなきゃならない。そんなの無理だ。

などと思っていたのだが、私は何故か例外で、蜘蛛の蝶として旅団のそばにいることになった。




イレズミは同じクモのマークに、ナンバーの変わりとして蝶のシルエットが白く彫られた。 左の太ももに。

蝶を縛るルールは団員とまったく同じで、この時からは仕事も手伝うようになった。




今日は皆仕事に行っている、とは言ってもクロロを抜かすと4人しか居なかったのだが。




暇なので昔出されていた修行メニューをやってみる。 というより、念で複雑な形を作るってだけだけど。




とりあえず蜘蛛の皆を作ってみる。 クロロはオールバックで……むぅ、髪の境目が難しい。


ウヴォー……おー似てる似てる。 次はフェイタン髪の細部が……む?




ゴト、と外で小さな音がした。 なんだろう。 ここは動物なんて居ないし、人が来るにしても賞金狙いかな……?




「おや◆ キミ一人しかいないのかい?」




すごく特徴的な、ちょっと慣れるまで時間がかかりそうな程の声。 その声がする方向には男が一人居た。

ピエロのように変なメイクを顔に施してあり、服装だってピエロそのものだ。




「そうだけど…… 貴方は? ここが何処だか知ってる?」

「もちろん★ クモ……幻影旅団の現アジトだろ★ ボクはヒソカ♥」




答えになってない気がする、そしてヒソカは一々ポーズを取った。 くせなのだろうか、腰に手を当てて仁王立ちする。



「ところでキミは? 念は使えるみたいだけど……クモよりは弱いよねぇ♠」




ズズ、と殺気がヒソカから出る。 昔の皆みたいな…容赦の無い気。



「私は……」


外にまた気配を感じた。 もしかして皆帰ってきたのかな、そう思ったがそこに居たのはフェイタン一人だった。

一足速く帰ってきたらしい。




? 何してる。 ソイツ誰ね」


「フェイタン? どうしたの、皆は?」


「ヒソカだ♥ そこの小さいキミは強そうだねぇ……少なくとも8番の彼よりは♠  彼は弱すぎた♣」




ヒソカは先ほどのは相当加減していたのだろう。 今度フェイタンと対峙して出した殺気はさっきに向けられたものとは全然違う。

そしてフェイタンもヒソカに負けず劣らずの殺気を放っている。

凄く息がしにくい。




「フェイタン、やめろ」




クロロ。 帰ってきたらしい、マチ・ウヴォー・シャルもそこに居た。



「ヒソカ、と言ったな。 8番を殺したのか?」


「もちろん♪」


「わかった、認めよう。 お前は蜘蛛、旅団ナンバーは8だ」




ヒソカは当然、とでもいう風に了解とだけ言った。


その後、何故か私に寄ってくる。




「……なに?」


「ん〜♣  さっきからキミに寄ると力が出るっていうか……★ 気持ちいいんだよねぇ♥」




うっとりとした表情でに話しかける。 率直な意見だ。

は少々後ずさりしながら答える。




「それが私の念なの」


はいつも垂れ流しね。 ささと制御できるようにする」


「でも……これでも念の状態抑えてるんだよ?」



「絶が出来てもエアブレス制御できなきゃ敵に居場所ばれるね」




言っていることは正論だけども、制御できないのだから仕方が無いじゃないか。

フェイタンの言うことはときたま無茶苦茶だ。




それからシズクをクロロが仲間に入れたり、ヒソカに連れ出されて何かされそうになったり(フェイタンにて救出された)した。



ずっと居場所が無かったけど、今は蜘蛛が私の居場所って言える。

とりあえずしばらくは蜘蛛に追いつけるように修行だなぁ…… 




ひとまず念の制御から。














NEXT→

目次へ



BACK