望みの果ては 3話



今日学校に行くのは確実にヤバイ気がする。

教えたのは下の名前だけだし、顔だってそんなにハッキリと見られてない。
だがヒバリならそれくらいは障害にもしない気がする。
そしてなにより、幼いころからの超直感――血的にもお墨付き――が今日は平凡な日が消え去る日だと告げていた。

いくら隣町まで行くのが面倒だからって校区内でやらなきゃ良かった、とツナが後悔するのも後の祭りというものだ。
それでも後悔せずにはいられなかった。

ただ、ツナの予想は外れていて今日起こる事は風紀委員長様に関することだけではなかった。

家には奈々もいればリボーンもいて、学校を休むわけにはいかない。
ツナは、遅刻寸前に学校に着いた。
この一週間、学校外でも付きまとっていた変な視線が今日は消えていた。
何か行動でも起こすのだろうか。
ともあれ煩わしい視線が消えたのでツナは嬉々としていた。

「う、わっ!?」

少し上機嫌で校門をくぐった瞬間、誰かに引っ張られ、物陰へとつれられた。
そこには案の定、雲雀恭弥の姿があった。

「ヒバリさん!?・・・ひっ」

「・・・・・・綱吉だよね、昨日の」

ダメツナ演技を披露すると、ヒバリはいぶかしげに言ってきた。
ただそれは語尾にクエスチョンマークがついておらず、同意を取るようなものではなかった。
ツナはブルブルと震えて縮こまった。

「昨日の・・・って、何のことーー!?
 オレ最近ちょっと変な感じですけど、目つけられるほどのことしてないです・・よ・・・」

「・・・・・・」

ヒバリの眉間にしわが寄ってきた。
恐らくこれはダメツナっぷりにウザさを感じている。
ヒバリは展開的に絶対ツナをトンファーで殴ってくるだろうと、ツナが思っていたとおりヒバリはトンファーを繰り出してきた。

避けるわけにはいかない、痛いだろうなー・・・・ん?
ヒバリの振るったトンファーは、来る痛みに構えていたツナの頭上で止まっていた。

「・・・・??」

「・・・まぁ黙っててあげる。僕大抵あの辺にいるからまた来て殺ろうよ」

そう言うとヒバリは去っていった。
・・・わけがわからない。

何故わざわざこの人影のない物陰に連れ込んだのかもわからない。
学校内で殺ろうと言わないのはもしかして親切心か?物陰でしたのも同じく?

ヒバリにかぎってそんなわけないか。

どちらにしろ深夜徘徊は隣町とかにしよう。

深夜徘徊をやめるという決意ではなかったが、ツナはそう決めて校舎へ入った。
学校の始まりを告げる鐘が鳴ったが、一応校内にいるから遅刻にはならなかった。

-

その日転入生が来た。

イタリアから来たという、明らかに日本人じゃないその髪と顔つきの男子生徒。
そして常人ならばおびえる、不良の類の睨み顔。

ツナには彼がマフィアやらリボーンやらに関係があるという確信があった。
なぜならば、昨日までの一週間ずっと感じていた視線と気配が、彼と同じだからだ。
机をガツンと蹴られたことでその確信は高まった。

休み時間に入り、することもなくうろついていると三年の不良連中にぶつかった。
ツナは大急ぎで外に逃げた。

「あっぶねーーーっ ヘタしたら半殺しになるとこだったぜ・・・」

これは本心だ。
ダメツナが三年生をノせられるはずが無いから、ただ黙って暴力に耐えなければいけない。
あまり痛くはないが、殴られるのは誰だって嫌だ。

「目に余るやわさだぜ」

「!!き・・、君は転入生の・・・・!」

後ろから突然声をかけてきたのは、獄寺隼人。
関係ないがいくら校舎内じゃないからって校内で煙草はまずくないか?

「お前みたいなカスを10代目にしちまったらボンゴレファミリーも終わりだな」

予感的中。
獄寺隼人はファミリー関係者だ。

そうだよな、こんなダメツナファミリーのボスにしたらどうなっても知らないぞ。
そう思うならにっくき9代目を説得でもしてきてくれってんだ。
まぁ、ダメな奴ボスにしたごときで潰れるようなファミリーなら逃げられてるんだよなあ。
そいでもって獄寺がボンゴレをつぶしたい、他のファミリーなら見逃してくれそうなんだがなあ。

「な、なんでファミリーのこと・・・」

「オレはお前を認めねぇ。10代目に相応しいのはこのオレだ!!」

ええー、血で後継者って決めるんじゃないの?
例外アリだったらオレじゃなくてもいいよね。うわぁ死ぬ気で譲りたい(笑顔

「球技大会から観察していたが、貴様のような軟弱な奴をこれ以上見ていても時間のムダだ」

「バレーみてたの!?」

ストーカーしてたってこと自分からばらしちゃったよ、この人。
観察っていうか、あれ覗き見っていうかストーカーだよ、ストーカー。

それにしてもよくあんなダメツナを一週間も根気強く見ていたものだ。
ツナであれば一日・二日で見切りをつけているだろう。
見た目とは変わって慎重派なのだろうか。

「目障りだ、ここで果てろ」

「んなぁっ!? バ!爆弾!?」

そう言うと獄寺はどこからか爆発物を取り出し、加えている煙草で火をつけた。
そうか、煙草は予備動作、煙草をつけたら戦闘する気があるって解釈していいんだな。
獄寺は短い導火線が徐々になくなっていく爆発物をツナのほうに放った。

「うわ! ひっ うぎゃああ」

この爆発物はどのくらいの爆発力があるんだ?
例えばダイナマイトならどれくらいオレは吹っ飛ぶ?
ツナが想像した結果はかなり痛々しい物であったので、表の自分でも出来る程度の後ずさりをした。
次の瞬間、ダイナマイトの導火線の先だけが打ち抜かれた。それにより、ついていた火が消える。
ツナは重心のズレに逆らわずに後ろに倒れた。

「ちゃおっス」

「リボーン!」

「思ったより早かったな、獄寺隼人」

リボーンが校舎の窓に腰掛けていた。
ツナの予感は大的中したらしい。獄寺隼人はリボーンの回し者で、マフィア。
確実にツナの平和生活を崩れさす悪敵。

それにしてもずっと見ていたんだから、さっさと助けろよ。

「勝ったほうが10代目な」

「なっ、オレを裏切るのか!?リボーン!!」

悪敵。
ツナは獄寺のことをそう思っていたが、リボーンのその言葉を聞いた瞬間にその考えは変わった。
救世主だ・・・!!これでマフィアから遠ざかれる!
負けようと考えていたら、それをリボーンが読心術によって読んだらしく銃を向けてきた。

「ちがうぞ。戦えって言ってんだ」

リボーンはツナに銃口を向けてきた。死ぬ気弾を撃つ気だ。
嫌だ、オレは負けるんだ!

「は?オレが転入生と・・・!?じょ、冗談じゃないよっ!マフィアと戦うなんて!」

「まちな」

脱兎作戦に出たものの、獄寺が道をふさいだ。
煙草を沢山くわえ、先ほどより明らかに多い爆発物を両手に構え火をつけた。
煙草を何十本もくわえることに意味があるのかは疑問だ。

「獄寺隼人は体中にダイナマイトを隠し持った人間爆撃機って話だぞ。又の名をスモーキン・ボム」

ツナが考えていたとおり、爆発物はダイナマイトだった・・・ってそんなことはどうでも良い。
スモーキン・ボムという名にツナは聞き覚えがあった。
知っている。誰にもなつかない悪童。へぇ、こいつが。

果てろ!と投げられたダイナマイトは確かにその名のとおりの威力があった。
ああ、使ってみたいなダイナマイト。
仕入れが結構面倒なことになりそうだったから使ったこと無いんだけどな。でも使ったら、確実に目立つしな。

ツナは少し外れた考えごとをしながらも、当たったら悲惨なことになる、と爆発に直撃しないように逃げた。
考え事をしながら逃げていたため、当然ながら行き止まりに追い込まれた。
さすが名が通っているだけはある。
それでもなんだか、今一気迫が物足りない気がする。

雲雀恭弥の殺気にあてられてしまったからだろうか?
本物のマフィアの殺気が一般人に劣るものだろうか。
まぁ、適度に名の通ってるマフィアよりも彼は強いけれど。

「終わりだ!」

「ぎゃあぁぁっ」

「死ぬ気で戦え」

獄寺の手からダイナマイトが離されたとき、リボーンが死ぬ気弾を打ち放った。
偶然を装って避けようとも思ったが獄寺は初対面ながらもリボーンのことを知っているらしい。
つまり、No.1ヒットマン、リボーンの腕なら重々承知しているはず。
偶然でリボーンが打った弾を一般人が避けられるはずがない。獄寺がこちらをしっかり見ているし、銃が発射されてから逃げることはダメツナには無理だ。

ツナは額に死ぬ気弾を受けた。



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うわーん長いー。てか途中一人称いりまじってませんか俺?
色々書き忘れや相違点などありまして、ちょこちょこメモを取りつつ書くようにしたいです・・・。
07.02.26

photo by So-ra