‐‐‐‐‐‐
幼い頃から自分は異質だと気付いていた。
同年代とは喋り方、考え方も異なり、唯一劣っているのは体格差でそれ以外はどう考えても自分はかなり秀でていた。
母も、たまにしか家にいない父もそれをとても喜び、受け入れてくれたのは凄く恵まれていたのだろう。
保育園に通い始めてから、ツナがフツウで無いことに気付いた周りの親たちは自分の子供をツナから遠ざけた。
「かあさん・・、オレ変なの?」
それまで理由は分からなかったが、遊んでいた子を親がツナから引き離しに来たとき、言い聞かせていた言葉からわかった。
『あの子はおかしいから遊んじゃ駄目よ』
奈々は痛々しい顔をして、ツナをその腕のなかに抱きよせた。
「ツっ君は悪くないの。変なのは向こうの方よ」
ツナは奈々の服をぎゅっと握って言った。
「でも、確かにオレはまわりのみんなと何か違う・・・変なんだ」
じわり、と胸に熱いものがこみあげてきた。
「キツイかもしれないけど聞いてね。ツっ君は皆より少し頭や体の成長が早いみたいなの、、意味分かる?」
奈々の問い掛けにコクンと頷く。
「それは凄く素敵なこと。でもね、皆はツっ君が自分達とちがくてツっ君はツっ君ってわかんなくなっちゃてるの。
だからね・・・全部隠して皆に合わせて仲良しになるか、それとも仲良しは少なくなるけどそのままのツっ君を見てもらうか。
ツっ君はどっちにしたい?』
ツナは奈々の言葉で頭がいっぱいになり、あまり考えることをせずに言った。
「なんでそんなことしなくちゃいけないの?」
それは思いがけずも奈々を責めるような口調になった。
「ごめんなさいツっ君、人は違いを受け入れきれないの。汚い世界でごめんね・・・」
奈々の胸に顔を埋めているからどんな表情かはわからないが、声は悲しげに震えていた。
あわてて慰めの言葉を送ろうと頭の隅では考えていたが追い付かなかった。
「こんな年で重い決断をさせてごめんね、でも事は急がなくちゃならないの」
例え騙すにしても、ある程度幼いときからしなければ違和感が生じるからだ。
今のツナでもそれは理解できた。
「ママもパパもツっ君を精一杯助けるわ。辛いだろうけど決め・・・」
奈々の声が急に擦れていって、消えた。かと思えばまた表れ、大きくなった。
「・・・君、ツっ君、起きて、お寝坊は駄目よ。」
ツナはゆったりと起きた。
「おはよ・・・」
眠そうに目を擦りつつも奈々に朝のあいさつを送る。夢だったらしい。
ツナの小学校入学前の記憶だった。
あの日の翌日からツナは演技をはじめたのだった。
朝起きてから奈々の前でもやってみたら、一瞬つらそうな顔をして、それから笑顔になった。
『やーだ、ツっ君てば。ママの前まで演技しなくてもいいのよ。あ、予行練習かしら?』
『うん、れんしゅー!へんなトコ、ない?』
こてんと顔を横に傾けて子供らしく聞いてみる。
これは自分と周りとがどれくらい違うのかと思ったとき、回りをよく観察していたから結構楽に出来る。
『ええ、すっごく可愛いわ〜。きっと周りの子供たちツっ君の笑顔にイチコロよ!』
イチコロになられても困る。
奈々は凄く頑張ってくれていた。
親戚からも変な子を産んだ親として交流を絶たれ、父方の祖父母には酷く責められ続け、勘当され。
狭く、閉鎖的な村に住んでいたため、綱吉の異端さはすぐに全員に知られ近所づきあいなど夢のまた夢だった。
父がいればまだ二人で支えあえるから良かっただろうが、仕事でめったに家にいないから一人で世間と戦っていた。
それでも一切ツナに当たろうとせず、いつも笑顔で、周りの環境もできるかぎりで整えてくれていた。
それに気がついてからツナはずっと感謝して、ずっと心の中でひたすら謝っていた。
変な子に生まれてごめんなさい、迷惑かけてごめんなさい、と。
どうして今まで気がつかなかったのか。
皆がツナの異端を避けるのであれば異端を隠せばいいだけの話だったのだ。
正直、一度自分を否定した者の中に入るのは凄く嫌だ。
だがそうも言ってられない。
ツナがわがままを言うたびに奈々は追い込まれていく。
ツナは即座に周りに愛想をふりまいたが、今までが今までだったために受け入れられることは無かった。
結局奈々の心労が増え、父の気遣いにより引っ越しのだ。
並盛町に。
うわぁ、また読む人が制限されそうなのきました。すみませぬ。
しかも矛盾たっぷりになりそうです。いやはや、つたない戦闘シーンなんか入ります。ご了承下さい。
ちなみに1827愛してます。てか27総受大好き。59受も。5927も。なんでも好きです。
69はハマりそうにないですが。 07.2.12
