* 風のよりどころ * -序章-






嫌。



ずっと閉じ込められている。

生まれたときはこんな事無かったのに。

なんでだろう。

そうだ、私にオトウトが生まれてからだ。 私は要らなくなった。




一族の風習だ。 本家は一人しか子を持ってはいけない。 でも、二人持ってしまった。

うっかり生まれたのが妹なら良かったのに、そしたら今ここに居るのは私の妹なのに。

そう思う自分も嫌で、ただ暮らしてる。




外を感じることも許されない、風も光も入らないこの地下の部屋で出来ることは考えることだけ。





 今日からはここがお前の部屋よ」




父様、母様、おばあさま。 優しかったように感じたのもウソなのね。

手のひらを返したように変わった態度と、ゴミを見るかのような視線。




この部屋に居てからずっと見ていないけれど、あの優しかった視線は今はオトウトに向けられているのでしょう。

殺さない程度に与えられる残飯は腐りかけの異臭がよどむ。

私の足には鉄の輪がはめられ、移動する距離が阻まれる。

重さで足はすれ、何度もやぶれたカサブタと傷の残っている直りかけた足。

ただ月日は巡る。




生きたい。 生きたい。



誰かここから出して―――
















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