ツナデレラ・後編 〜1万HIT記念小説〜



あのあと呆けていたコロネロをよそに、ツナデレラはリボーンにつれられてボンゴレ国へと足をふみいれました。
そしてじつの父、家光とじつの母、奈々との再会をはたしました。
家光はとしがいもなくおお泣きし、奈々はほんのりとわらい、ふたりともツナデレラをだきしめました。
ツナデレラがふたりとわかれたとき、とても幼かったのでほとんど覚えていませんが、このあたたかさと、匂いだけはおぼえがありました。

「父さま、母さま、ただいま――・・・」
「おかえりなさい、ツナ」

ひとたび再会をたのしむと、ツナデレラはコロネロからうばってきた書類を家光にみせました。
幼いこどもどうしで「結婚しよー」というのとはわけがちがいます。
朱印と名前さえ本人のものなら、これはしょうにんされてしまうのです。
すこしあおくなった家光の目をみながら、ツナデレラはつめよります。

「どういうことだよ・・・・、これ」
「な、なんだ、その・・・・・・諦めてくれ★」
「っざけんなよ、このくそ親父ー!!」

ツナデレラがさけんでも、それはかわりませんでした。
いまのところ、コロネロはツナデレラのなかで一番近しいひとですが、それが恋なのかどうかツナデレラにはわかりません。
めんどうくさがりやなツナデレラは、断るほどのことでもないかと思ってしまい、コロネロと結婚しました。
ツナデレラはボンゴレの女王となり、コロネロはアルコの王さまとなったあとに、です。

そこでいちばんの問題なあとつぎ。
ツナデレラもコロネロも、一国をまもるだいじな役目をせおっています。
なのにふたりが結婚するとなれば、どちらかの国があいてしまうことになります。そうなってはたいへんです。
どちらかの国をほかのあとつぎにまかせるにしても、両人ともきょうだいはいません。
ところがその問題は、ツナデレラの何気ないひとことでかいけつしてしまいました。

「ボンゴレとアルコ、くっつけばOKなのにねー」
「・・・! それでいくぞコラ」
「え、冗談なのに」

そんなこんなで、きょうがボンゴレ国とアルコ国のゆうごうの日です。
ボンゴレのほうが圧倒的にちからがあったので、国のなまえはボンゴレとなります。
両国とかかわりがあった国々、これから交流をもとうとする国々の王さまたちがお祝いにたくさんかけつけました。
そのなかに並盛国もありました。
すでに王さまとなっていたヒバリが、ちょくせつやってきたのです。

「結合おめでとう、ボンゴレ、アルコ。・・・結婚もね、ツナ」
「ヒバリ王子・・・あ、あのこのまえは本当にすみませんでした」
「あやまる必要はないよ」

ツナデレラは、あんいに結婚のやくそくをして、おまけに式のさいちゅうに逃げだしたことを頭をさげてあやまりました。
それをヒバリ王子は興味なさげにいちべつし、肩にかけているマントをひらりとひるがえします。

「知ってるかい? ボンゴレも並盛も、法律では重婚が認められているんだ」
「・・・それはどーゆーことで・・・」
「つまり僕と君が結婚したって関係ないってこと」
「いやオレ残念ながら、日本国の一夫一妻制が一番すてきだと思ってますから」
「・・・僕はいつでも自分が法律だよ」
「えええ!」
「どちらにしろコロネロ殺せば済むことだしね」

ひどく自分勝手でごうまんなひとことをのこして、ヒバリ王子はさってゆきました。
あのひとはそれくらい実行しそうなきがして、ツナデレラはぶるりと震えました。
さらに山本王子も、獄寺王子も、骸もお祝いにきていました。
それだけならよかったのですが、かくじ大変なひとことをのこしてゆきました。

「よーツナ。あいつに飽きたらいつでも俺のとこに嫁にこいよ?」

ヒバリ王子のように強引じゃないだけましだと思うべきでしょうか。
日本国の”きもの”と”かたな”はとても彼に似合ってました。
山本王子のうしろになにか黒いものが見えたのは、オレは気にしません。

「10代目!オレ跡継ぎは姉貴に任せます、だからオレを貴方の右腕にしてください!」

姉貴、とはビアンキのことらしいです。
なぜオレの世話がかりなんかをやってたかは、リボーンがいろいろと関係しているらしいです、オレには関係ありません。
なんでも獄寺王子の国では、きほんは男性優位だけれどべつに女性でもかまわないというなんとも中途半端な法律が採用されているらしいです。
忠犬みたいだなーと思ったことは、内緒です。

「逢引は続行しましょうね。またこの国の森とかでお待ちしていますよ、ツナさん。僕は浮気なんてどうでもいいですから」

あれ逢引だったんですか。
森ってそんなアバウトな位置選択でまた出会えるとでも思っているのでしょうかこの人。いや果物。
ツッコミどころがたくさんありますが、その前に、おへそが麗しい妹さんが彼をひっぱっていきました。
果物頭は一緒でした。あの美的感覚は遺伝なのでしょうか。
どうでもいいけど浮気OKは一番たちが悪いです。




きょうもポカポカいい天気です。
そんな日なのにツナデレラはお城にこもって、ゲームをしています。

「・・・・ツナ」
「なに?」
「どうしてお前、ああなんだ?コラ」
「ああってなんだよ」

ツナデレラはコロネロのほうをふりかえりもせず、ゲームを中断することもなく、へんじをしました。
いつものことなのでコロネロも気にしません。そのまま会話はつづきます。

「裏表があるんだって聞いてんだ。お堅い古頭の連中にはまさにダメツナのあだ名が似合うようにふるまってるだろコラ。実際お前のことをなにもできないバカな女って認識してる奴らのほうが多いぜ」
「お偉いさんがたがそう思ってるんなら、そうなんじゃないのー」
「違うだろうがコラ」

コロネロがそういうと、珍しくツナがゲームをほっぽりだして、かけよってきました。
かおをぐんと近づけてきます。

「コロネロはどーいうふうに違うと思う?」
「っ近い!」
「ね、教えて。知りたい」
「・・っ頭は悪いどころか一般よりずば抜けて高ェ。格闘センスは今すぐ殺し屋でも通用するほどだ。だれもが惹きつけられるカリスマ性も持ってる。ボスには申し分ない才能だぜコラ」

言えというから、すこしはずかしくとも言ったのに、ツナデレラはだまってうつむいてしまいました。
コロネロがツナデレラの顔をのぞきこむと、それは赤にそまっていました。
ですが、すぐに我にかえって、ふい、とそっぽをむきました。

「自分で聞いといて照れんなコラ、俺が恥ずかしいだろうが」
「い、いや、コロネロがそんな口達者だったとはね。はは」

ダメツナ演技をしているとき以外で、ツナデレラがどもるのは珍しいです。
直球によわい。コロネロは彼女のじゃくてんをひとつ知りました。

「で。なんでダメツナやってんだ?」
「だって! 大勢の前で笑顔で手ーふるとかできないもん! 恥ずかしいじゃんか」
「ぶはっ」

コロネロがふきだしました。
さきほど自分があれほどほめてやった、才能あふれるツナデレラがそんなくだらない理由で執務からにげているとは、おもいもしなかったから。
そしてそんなじゃくてんもあったのかと、そのかわいらしさに我慢できなかったのです。
腹筋をふるふるとふるわせているコロネロでしたが、ツナデレラは当然おこってしまいました。
ギロリといちべつしたあと、ゲームをはじめました。
何度はなしかけても無視です。

しかたないかと、コロネロが仕事にもどろうかとすると、彼にとってとてもみぢかな闇色のまほうつかいがやってきました。
こちらには見向きもせず、ツナデレラのほうへとよっていきます。

「おい、ダメツナ」

(けっ。今ツナは機嫌が悪ィーんだコラ。相手にすっかよ)

コロネロはそう思っていたのですが、

「リボーン! わー、おかえり。なんか最近会わなかったね」
「ああ、ちょっとな」

ツナデレラは笑顔でむかえました。声もこころもちたかめです。

「あれ、いつもの長い杖は?あのぐるぐるしてる」
「あれは家光が無理やり持たせてたんだ。オプションだとかなんとか言ってやがったぞ」

おまけにゲームをしながらでなく、きちんと止めて、リボーンを見てしゃべっています。
コロネロはむかむかとしながらも、落ち着け、あれはひさびさだからツナだって気をつかってんだ、と自分をいなさめます。
ふたりはさらに接近します。
つぎのしゅんかん、コロネロは目をうたがいました。

「ん・・・・、ちょっとリボーン、何すんの」

リボーンがツナデレラにキスをしたのです。
しかもツナデレラは嫌がるふうではなく、すこし眉をよせただけで、本気でおこっているかんじはしません。
それどころか、ひとまえでとつぜんの恋人からのキスに、恥ずかしがっているだけのような気さえしてきます。
がくぜんとして、かたまっていたコロネロでしたが、すぐに罵声をとばしました。
が、かえってきたのはあきれ返ったようなまほうつかいの一言。

「やっぱ馬鹿だなテメー。ボンゴレは重婚OKだぜ?」

ちなみにコロネロの国であったアルコ国は一夫一妻制でした。
コロネロは法改正をこころにきめました。
リボーンが「まあ俺に法律なんて関係ねーけどな」といったのを、かれの耳がとらえたかはさだかではありません。





    top

-

もう一つ小話を書く予定だった気がするんですが、きれいさっぱり忘れてます。
もしかしたら小話を思いついていた気がしてるだけかもしれません。
お読みいただきありがとうございました、いちおう1万HITお礼フリー小説でした。
フリーですので3話ともお持ち帰りOKです。そのときはindexへリンクもできたらお願いします。
07.6.15

Eauの風上水面さまより1万HITにツナデレラの絵をいただきました!

photo by 君に、