ねーねー聞いてよ、竹中さん。
なんだ太子。
私今度隋に行くことになったんだー。
何をしに?
遣隋使っていってねー。小野・・・なんだっけ、小野いなふ?と行くことになったんだ。ふふ、楽しみ。
ほう、オノノイナフと。
ていうか竹中さん、私って臭い?
ああ。
ふんがーっ!妹子め!
どうした太子。
妹子の奴すげー生意気なんだよ!摂政たる私に饅頭のちっこい方渡すし!なんかいろいろ投げてくるしあの芋!
妹子?
うん、小野妹子。
ああ、イナフか。
あんな奴ムクでいいよ!
太子は随分イナフが気に入ったようだな。
え、私、妹子気に入ってるの?
俺にはそう見える。
ふぅん、そー見えるのか。
太子が他人を罵倒してるのは珍しいからな。
そう、かな。
・・・ムク?
どっちでもいーよ。
竹中さん竹中さん。
またイナフか?
妹子はツナが好きらしいんだよ。
ほう、ツナが。
だから今度スペシャル摂政☆ツナデラックスを作ってやろうと思って。
美味しそうだな。
だろー!でも要らないって言うんだよ、あの芋やろー。全く、何考えてんだ!
太子はイナフが好きなんだな。
な、べ、別にあんなツナ好き、好きじゃないよ!竹中さんは好きだけど!
聞ーいてー竹中さん。
なんだ。
スペシャル摂政☆ツナデラックスを作ってやったんだけど、その時くす、って笑ったんだ!
スペシャル摂政。
あんま笑わないんだけどね、その笑ったときの顔がやーわらかくて可愛かったんだ、ほんと。見せてあげたいくらい。いやいやいくら竹中さんでも見せられん。
太子はイナフが好きなのか。
・・・え、何言って、ないよ。だって、摂政と五位だぞ!?
魚に上下関係はないぞ。
・・・う、好き、かも・・・。いや、好き・・・・です。
よくできました。
竹中さーん!
嬉しそうだな太子。
妹子がね!書類を運ぶ途中でつまづいてさ、キョロキョロして頬っぺた真っ赤にして走ってったんだ。可愛かったー。
本当に太子はイナフが好きだな。
あ、竹中さんわかる?うん、好き好き大好き。
太子はわかりやすいよ。
太子、そんなに落ち込んでどうした。
竹中さん・・・。ここ一週間、妹子に会ってないんだ。寂しー。
呼びつけたらどうだ。
有給までとって休んでるのを呼び出すのも気が引けて、ね。
太子が人の迷惑を考えるとは驚きだ。
失敬な!
イナフ愛されてるな。
だっろー。こんなに大切に想ってるのに、気づかないんだニブ妹子。
告白すればいいじゃないか。
あ、その手があった。ありがとう竹中さん!
たっけなっかさーん!
テンション高いな太子。と、そっちは?
うひひ。これが妹子だよ!妹子、この人がフィッシュ竹中さん。
は、はじめまして。
小野イナフ。
え!?イナフ?何、僕のことですか?
ん?ムクだったか。
違います妹子ですよ!
どっちでもいいじゃないかイナフ。
そうだぞ芋妹子。
良くないです!それと芋言うな!・・・てか、後頭部・・・魚、え?
まぁ気にするな。
気にするな妹子。ツナあげないぞ。
んなもん要りませんよ!くれる気だったんですか。
イナフ、ツナ好物なんだろう?無理するな。
だから好きでもなんでもないですって!なに嘘教えてるんですか太子。
こんにちは、竹中さん。
一人かイナフ。
まあ。太子どこにいるか知りませんか?
今日は見てないな。
そうですか・・・。
太子はどうだ?
?
付き合ってると聞いてるが。
ど、どうって─
あっちの具合とか、太子は上手くやれてるか?
あ、あの人そんなことまで話してるんですか!?
親友だからな。
・・・!
そう赤くなるな。確かに太子とは親友だが、その辺はしゃべっていない。
・・・騙しましたね。
俺は親友としか言ってないぞ。
知りません!もう!
竹中さん。どうしよう、妹子が口聞いてくれないんだ。
太子何したんだ?
な、何もしてないよ!ちょっと妹子の枕にツナつめただけだもん!
ほう、それだけか。
怒りんぼ妹子だ。これしきのことで怒るとは・・・どうしよう。
謝るといい。
なんで?
長続きのコツは恋人の言うことを聞いてやることらしい。
なるほど。やっぱり竹中さんは便りになる!
あ、竹中さん。
小野イナフ。太子が落ち込んでたぞ。
あいつが悪いんです。謝ってきたけど許せん。
何したんだ太子は。
聞いてくださいよ。僕の枕をツナだらけにしやがったんです。
いつものことじゃないか。
ひ・・・久しぶりの夜、に、ですよ?
ほう、久しぶりの夜に。
ムードも何もあったもんじゃないんだ、あのアホ。
だがそのアホが好きなんだろう。
誰があんなおっさん!
イナフは素直じゃないな。
・・・。
竹中さん、妹子がー!
聞いてくださいよ竹中さん!
二人は今日も彼の住む池へ。
・・・ここは相談所じゃないんだがな。